1-5 輸出物品販売場における免税

【1】内容

輸出物品販売場を経営する課税事業者が、非居住者に対し免税対象物品で輸出するために一定の方法により購入されるものの譲渡(非課税とされるものを除く。)を行った場合には、購入下限額以上の物品の譲渡については、消費税を免除する。

 

【2】輸出物品販売場の意義

次に掲げる要件の全てを満たす課税事業者の経営する販売場で、非居住者に対し、物品を免税で譲渡することができるものとして、その納税地の所轄税務署長の許可を受けたものをいう。

(1)現に国税の滞納がないこと

(2)輸出物品販売場の許可を取り消され、その取り消しの日から3年を経過しない者でないことその他輸出物品販売場を経営する事業者として不適当と認められる事情がないこと。

 

【3】輸出物品販売場とみなす場合

事前承認港湾施設内に臨時販売場を設置しようとする輸出物品販売場を経営する事業者が、設置する日の前日までに、設置する期間その他一定の事項を記載した届出書をその納税地の所轄税務署長に提出したときは、その期間に限り、その臨時販売場を輸出物品販売場とみなして、輸出物品販売場における免税を適用する。

 

【4】免税対象物品

次に掲げる物品以外の物品が対象となる。

(1)金又は白金の地金その他通常生活の用に供しないもの

(2)通常生活の用に供する物品のうち消耗品(食品類、化粧品類など)に該当するもので、その譲渡に係る税抜対価の額の合計額が50万円超のもの

 

【5】購入下限額

一般物品(消耗品以外のもの)及び消耗品の税抜対価の額の合計額5千円とする。

 

【6】書類の保存

(1)内容

輸出物品販売場における免税は、輸出物品販売場を経営する事業者が購入者誓約書、旅券等の写し(電磁的記録を含む。)を保存することを要件とする。

ただし、災害その他やむを得ない事情により保存することが出来なかったことを証明した場合その他一定の場合にはこの限りではない。

(2)保存期間

購入者誓約書などを、譲渡を行った日の属する課税期間の末日の翌日から2月を経過した日から7年間、納税地又は輸出物品販売場の所在地に保存しなければならない。

 

【5】購入方法

非居住者が、購入の際、次に掲げる要件の全てを満たして引き渡しを受ける方法とする。

(1)一般物品

①旅券等を提示し購入記録票の貼り付けを受け、旅券等と購入記録票の間に割印を受けること。

②購入後に輸出する旨の購入者誓約書を輸出物品販売場を経営する事業者に提出すること。

③一般物品の税抜対価の額の合計額が100万円を超える場合は、旅券等の写しを輸出物品販売場を経営する事業者に提出すること。

(2)消耗品

①旅券等を提示し購入記録票の貼付を受け、旅券等と購入記録票の間に割印を受けること。

②購入後30日以内に輸出する旨の購入者誓約書を輸出物品販売場を経営する事業者に提出すること。

③指定された方法で包装されること。

 

1-4 輸出免税等

【1】内容

事業者(免税事業者を除く。)が国内において行う課税資産の譲渡等(特定資産の譲渡等を除く。)のうち、輸出取引等については、消費税を免除する。

 

【2】輸出取引等

(1)本邦からの輸出として行われる資産の譲渡・貸付け

(2)外国貨物の譲渡・貸付け((1)を除く。)

(3)外国貨物に係る荷役、運送、保管、検数、鑑定などの役務の提供(保税地域における内国貨物に係るこれらの役務の提供を含み、特例輸出貨物に係るこれらの役務の提供にあっては、一定の場所に限る。)

(4)国際輸送、国際通信、国際郵便、国際信書便

(5)船舶運航事業者等が行う外航船舶等の譲渡・貸付け又は修理その他一定のもの

(6)非居住者に対して行われる特許権などの譲渡・貸付け

(7)非居住者に対して行われる役務の提供で、国内において直接便益を享受するもの以外のもの

 

【3】輸出証明

(1)内容

輸出免税は、その証明がされることを要件とする。

(2)証明方法

輸出許可書などの書類又は帳簿を、その課税資産の譲渡等を行った日の属する課税期間の末日の翌日から2月を経過した日から7年間、納税地又は事務所等の所在地に保存しなければならない。


【4】用語の意義

(1)課税資産の譲渡等

資産の譲渡等のうち、非課税とされるもの以外のものをいう。

1-3 非課税

【1】国内取引

国内において行う資産の譲渡等のうち、次の取引については、消費税を課さない。

(1)土地(借地権などを含む。)の譲渡・貸付け(貸付期間が一月未満の場合及び駐車場などの施設としての貸付を除く。)

(2)有価証券等(ゴルフ場利用株式などを除く。)その他これに類するもの及び支払手段(収集品及び販売用のものを除く。)その他これに類するものの譲渡

(3)利子を対価とする金銭の貸付及び保険料を対価とする役務の提供その他これらに類するもの

(4)一定の者が行う郵便切手類、印紙及び証紙の譲渡、並びに物品切手等の譲渡

(5)行政手数料、外国為替業務などに係る手数料を対価とする役務の提供

(6)健康保険法などの規定に基づく療養、医療などの資産の譲渡等

(7)介護保険法などの規程に基づく居宅サービスなどの資産の譲渡等、社会福祉法の規程に基づく社会福祉事業などとして行われる資産の譲渡等(生産活動に係るものを除く。)

(8)身体障害者物品の譲渡等

(9)助産に係る資産の譲渡等

(10)埋葬料、火葬料を対価とする役務の提供

(11)学校教育法などの規定に基づく教育として行う役務の提供

(12)学校教育法の規定に基づく教科用図書の譲渡

(13)契約により居住用とされる住宅の貸付(貸付期間が1月未満の場合及び旅館などの施設としての貸付けわ除く。)

 

【2】輸入取引

保税地域から引き取られる外国貨物のうち、次のものは、消費税を課さない

(1)有価証券、支払手段

(2)郵便切手類、印紙、証紙、物品切手等

(3)身体障害者用物品

(4)教科用図書

 

 

1-2 国内取引の判定

【1】資産の譲渡・貸付

次の場所が国内にあるかどうかにより行う。

(1)原則

譲渡・貸付けが行われる時において、その資産が所在していた場所。

(2)一定の場所

①船舶

(イ)登録のある船舶

登録機関の所在地(2以上の国で登録している場合はいずれかの機関の所在地)

なお、一定の場合には譲渡・貸付者の住所地

(ロ)登録のない船舶

譲渡・貸付者の事務所等の所在地

②航空機

(イ)登録のある航空機

登録機関の所在地

(ロ)登録のない航空機

譲渡・貸付者の事務所等の所在地

③鉱業権・租鉱権・採石権等

鉱区、租鉱区又は採石場の所在地

特許権実用新案権意匠権、商標権等

登録機関の所在地(2以上の国で登録している場合は譲渡・貸付者の住所地)

⑤公共施設等運営権

公共施設等の所在地

著作権

譲渡・貸付者の住所地

⑦営業権、漁業権、入漁権

これらの事業を行う者の住所地

⑧有価証券等(ゴルフ場利用株式などを除く。)

有価証券が所在していた場所。

⑨登録国債

登録機関の所在地

⑩合名会社などの社員の持分

持分に係る法人の本店又は主たる事務所の所在地

⑪金銭債権

債権者の譲渡に係る事務所等の所在地

⑫ゴルフ場利用株式など

ゴルフ場その他の施設の所在地

⑬上記以外の資産で所在場所が明らかでないもの

譲渡・貸付者の事務所等の所在地

 

【2】役務の提供

次の場所が国内にあるかどうかにより行う。

(1)原則((3)を除く。)

役務の提供が行われた場所

(2)一定の場所

①国際輸送

出発地(発送地)又は到着地

②国際通信

発信地又は受信地

③国際郵便、国際信書便

差出地又は配達地

保険業

保険業務を営む者の事務所等の所在地

⑤生産設備等の建設、製造に関し、専門的な知識を必要とする調査、企画、立案など

生産設備等の建設、製造に必要な資材の大部分が調達される場所

⑥上記以外の役務の提供で役務提供地が明らかでないもの

役務提供者の事務所等の所在地

(3)電気通信利用役務の提供

役務の提供を受ける者の住所等

ただし、その住所等がないときは、国外で行われたものとする。

 

 

【3】特定仕入れ

特定仕入れを行った事業者が、その特定仕入れとして他の者から受けた役務の提供につき【2】に定める場所が国内にあるかどうかにより行う。

ただし、次の場合には、この限りではない。

①国外事業者が恒久的施設で行う特定仕入れ(他の者から受けた事業者向け電気通信利用役務の提供に限る。)のうち、国内において行う資産の譲渡等に要するものは、国内で行われたものとする。

②事業者(国外事業者を除く。)が国外事務所等で行う特定仕入れのうち、国外において行う資産の譲渡等にのみ要するものは、国外で行われたものとする。

 

【4】利子を対価とする金銭の貸付その他これに類するもの

その利子を対価とする金銭の貸付その他これに類するものを行う者の事務所等の所在地が国内にあるかどうかにより行うものとする。

 

 

1-1 課税の対象

【1】国内取引

(1)課税の対象

国内において事業者が行った資産の譲渡等(特定資産の譲渡等を除く。)及び特定仕入れ(事業として他の者から受けた特定資産の譲渡等をいう。)には、消費税を課する。

(2)国内取引の判定

次の場所が国内にあるかどうかにより行う。

①資産の譲渡・貸付

譲渡・貸付けが行われる時においてその資産が所在していた場所。

なお、船舶、特許権などの譲渡・貸付けである場合には、一定の場所。

②役務の提供(③を除く)

役務の提供が行われた場所

なお、国際輸送、国際通信などの役務の提供である場合には、一定の場所。

③電気通信利用役務の提供

役務の提供を受ける者の住所等

ただし、その住所等がないときは国外で行われたものとする。

④特定仕入れ

特定仕入れを行った事業者が、その特定仕入れとして他の者から受けた役務の提供につき②又は③に定める場所。

 ただし、次の場合には、この限りでない。

(イ)国外事業者が恒久的施設で行う特定仕入れ(他の者から受けた事業者向け電気通信利用役務の提供に限る。)のうち、国内において行う資産の譲渡等に要するものは、国外で行われたものとする。

(ロ)事業者(国外事業者を除く。)が、国外事務所等で行う特定仕入れのうち、国外において行う資産の譲渡等にのみ要するものは、国外で行われたものとする。

(3)みなし譲渡

①個人事業者が棚卸資産等の事業用資産を家事のために消費使用した場合には、事業として対価を得て行った資産の譲渡とみなす。

②法人が資産をその役員に贈与した場合には、事業として対価を得て行った資産の譲渡とみなす。

 

【2】輸入取引

(1)課税の対象

保税地域から引き取られる外国貨物には、消費税を課する。

(2)引取りとみなす場合

保税地域において外国貨物が消費使用された場合には、その消費使用した者がその時にその外国貨物を保税地域から引き取るものとみなす。ただし、課税貨物の原材料として消費使用された場合その他一定の場合には、この限りでない。

 

【3】用語の意義

(1)国内

消費税法の施行地をいう

(2)事業者

個人事業者(事業を行う個人)及び法人をいう。

(3)国外事業者

所得税法に規定する非居住者である個人事業者及び法人税に規定する外国法人をいう。

(4)資産の譲渡等

事業として対価を得て行われる資産の譲渡・貸付け及び役務の提供(代物弁済による資産の譲渡その他対価を得て行う資産の譲渡・貸付け及び役務の提供に類する行為を含む)をいう。

(5)特定資産の譲渡等

事業者向け電気通信利用役務の提供及び特定役務の提供をいう。

(6)電気通信利用役務の提供

資産の譲渡等のうち、電気通信回線を介して行われる著作物の提供その他電気通信回線を介して行われる役務の提供(通信設備を用いて他人の通信を媒介する役務の提供を除く。)で、この資産の譲渡等の結果の通知その他の他の資産の譲渡等に付随して行われる役務の提供を除く。

(7)事業者向け電気通信利用役務の提供

国外事業者が行う電気通信利用役務の提供のうち、その性質又は取引条件等から役務の提供を受ける者が通常事業者に限られるものをいう。


(8)特定役務の提供

資産の譲渡等のうち、国外事業者が行う演劇その他の役務の提供その他一定の役務の提供(電気通信利用役務の提供を除く。)をいう。

(9)外国貨物

輸出の許可を受けた貨物及び外国から本邦に到着した貨物で輸入が許可される前のものをいう。

(10)課税貨物

保税地域から引き取られる外国貨物のうち、非課税とされるもの以外のものをいう。

 

【4】資産の譲渡等の範囲

(1)資産の譲渡等に類する行為

①代物弁済による資産の譲渡

②負担付き贈与による資産の譲渡

③金銭以外の資産の出資

④特定受益証券発行信託、法人課税信託の委託者が金銭以外の資産を信託した場合のその資産の移転など

⑤貸付金その他の金銭債権の譲受その他の承継(包括承継を除く。)

日本放送協会が受信料を徴収して行う放映

(2)収用による保証金の取得

土地収用法などの規定に基づいて所有権などを収用され、その権利取得者からその権利の消滅に係る補償金の取得した場合には、対価を得て資産の譲渡を行ったものとする。

(3)事業付随行為

資産の譲渡等には、その性質上事業に付随して対価を得て行われる資産の譲渡・貸付け及び役務の提供を含むものとする。

 

【5】特定役務の提供の範囲

演劇などの俳優、音楽家その他の芸能人、又は職業運動家の役務の提供を主たる内容の事業として行う役務の提供のうち、国外事業者が他の事業者に対して行う役務の提供とする。

なお、不特定多数の者に対して行うものを除く。