3-1 長期割賦販売等に係る資産の譲渡等の時期の特例

【1】長期割賦販売等を行った課税期間

事業者が長期割賦販売等に該当する資産の譲渡等を行った場合において、その対価の額につき所得税法又は法人税法に規定する延払基準の方法により経理したときは、その長期割賦販売等をした課税期間において支払期日が到来しない賦払金に係る部分についてはその課税期間には資産の譲渡等を行わなかったものとみなして、その賦払金に係る対価の額をその長期割賦販売等に係る対価の額から控除する事が出来る。

 

【2】翌課税期間以後の取扱

延払基準により長期割賦販売を行った課税期間に資産の譲渡等を行われなかったとみなされた部分については、その支払期日が到来する各課税期間に資産の譲渡等を行ったものとみなす。

 

6-1 課税標準及び税率

【1】国内取引の課税標準

(1)課税資産の譲渡等に係るもの

課税資産の譲渡等(特定資産の譲渡等を除く。)に係る消費税の課税標準は、課税資産の譲渡等の対価の額とする。

なお、対価の額は対価として収受し、又は収受すべき一切の金銭又は金銭以外の物、若しくは権利その他経済的な利益の額をいい、課税資産の譲渡等につき課されるべき消費税額及び地方消費税額を含まれないものとする。

また、金銭以外の物若しくは権利その他経済的な利益の額は、その物若しくは権利を取得し、又は利益を享受した時における価額とする。

(2)低額譲渡に該当する場合の課税標準

法人が資産をその役員に譲渡する場合において、その対価の額が譲渡時の資産の価額に比し著しく低くいときは、その資産の価額を対価の額とみなす。

(3)みなし譲渡に該当する場合の課税標準

①個人事業者が棚卸資産等の事業用資産を家事のために消費使用した場合の消費税の課税標準は、その家事消費使用時の資産の価額を対価の額とみなす。

②法人が資産をその役員に贈与した場合には、その贈与時の資産の価額を対価の額とみなす。 

(4)特定課税仕入れに係るもの

特定課税仕入れに係る消費税の課税標準は、特定課税仕入れに係る支払対価の額とする。

なお、対価の額は、対価として支払い、又は支払うべき一切の金銭又は金銭以外の物、若しくは権利その他経済的な利益の額をいう。

また金銭に以外の物若しくは権利その他経済的な利益の額は、その物若しくは権利を取得し、又は利益を享受したときにおける価額とする。

 

 

 

 

7-4 非課税資産の輸出等を行った場合の仕入れに係る消費税額の控除の特例

【1】非課税資産の輸出等を行った場合の仕入れに係る消費税額の控除の特例

(1)内容

事業者(免税事業者を除く。)が国内において非課税資産の譲渡等のうち輸出取引等に該当するものを行った場合において、その証明がされたときは、課税資産の譲渡等に係る輸出取引等とみなして、仕入に係る消費税額の控除を適用する。

(2)課税売上割合の計算

国内において行う非課税資産の譲渡等のうち輸出取引等に該当するものの対価の額は、課税資産の譲渡等(特定資産の譲渡等を除く。)の税抜対価の額の合計額に含めて計算する。

なお、売上に係る税抜対価の返還等の金額は、課税資産の譲渡等の税抜対価の額の合計額から控除する。

(3)証明方法

①内容

非課税資産の輸出取引等はその証明がされる事を要件とする。

②保存期間

輸出許可書などの書類又は帳簿を、その非課税資産の譲渡等を行った日の属する課税期間の末日の翌日から2月を経過した日から7年間、納税地又は事務所等の所在地に保存しなければならない。

(4)非課税資産の譲渡等のうち輸出取引に該当するもの

①本邦からの輸出として行われる非課税資産の譲渡・貸付け

②外国貨物のうち非課税とされるものの譲渡・貸付け(①に該当するものを除く。)

③非居住者に対して行われる非課税とされる役務の提供で、国内において直接便益を享受するもの以外のもの

④利子を対価とする金銭の貸付その他これに類するもので、その債務者が非居住者であるもの

 

【2】国外移送

(1)内容

事業者(免税事業者を除く。)が国外における資産の譲渡等、又は自己の使用のため資産を輸出した場合において、その証明がされたときは、課税資産の譲渡等に係る輸出取引等に該当するものとみなして、仕入に係る消費税額の控除を適用する。

(2)課税売上割合

資産の輸出に係る資産の価額(本船甲板渡し価額)は、資産の譲渡等(特定資産の譲渡等を除く。)の税抜対価の合計額及び課税資産の譲渡等の税抜対価の合計額に含めて計算する。なお売上に係る税抜対価の返還等の金額はそれぞれ控除する。

(3)証明方法

①内容

国外移送は、その証明がされる事を要件とする。

②保存期間

輸出許可書などの書類又は帳簿を、その資産の輸出を行った日の属する課税期間の末日の翌日から2月を経過した日から7年間、納税地又は事務所等の所在地に保存しなければならない。

【3】適用除外

次の資産の輸出は、非課税資産の輸出取引等及び国外移送に含まれない。

①有価証券及び支払手段

②金銭債権

7-2 書類の保存

【1】書類の保存

(1)内容

仕入に係る消費税額の控除は、帳簿及び請求書等の保存を要件とする。ただし、災害その他やむを得ない事情により保存する事が出来なかった事を証明した場合には、この限りではない。なお、課税仕入れに係る支払対価の額の合計額が3万円未満の場合、3万円以上である場合において請求書等の交付を受けなかった事につきやむを得ない事情がある場合、特定課税仕入れである場合には帳簿のみの保存を要件とする。

(2)保存期間

帳簿については閉鎖の日、請求書等については受領した日の属する課税期間の末日の翌日から2月を経過した日から7年間、納税地又は事務所等の所在地に保存しなければならない。

なお、保存期間のうち6年目及び7年目については、帳簿又は請求書等のいずれかの保存による事が出来る。

 

【2】帳簿の記載事項

(1)課税仕入れに係るもの

①課税仕入れの相手方の氏名又は名称

②課税仕入れを行った年月日

③課税仕入れの内容

④課税仕入れに係る支払対価の額

(2)特定課税仕入れに係るもの

①特定課税仕入れの相手方の氏名又は名称

②特定課税仕入れを行った年月日

③特定課税仕入れの内容

④特定課税仕入れに係る支払対価の額

⑤特定課税仕入れである旨

(3)保税地域からの引き取りに係るもの

①引き取った年月日又は特例申告書を提出した日

②課税貨物の内容

③引取に係る消費税額及び地方消費税額又はその合計額

 

【3】請求書等の記載事項

(1)課税仕入れの相手方が交付する請求書、納品書等

①書類の作成者の氏名又は名称

②課税資産の譲渡等を行った年月日

③課税資産の譲渡等の内容

④課税資産の譲渡等の税込価額

⑤書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

なお、飲食店、小売業などの不特定多数の者に資産の譲渡を行う事業者から交付を受けるものについては、⑤の記載は不要である。

(2)課税仕入れを行った事業者作成する仕入明細書等で、相手方の確認を受けたもの。

①課税仕入れを行った相手方の氏名又は名称

②課税仕入れを行った年月日

③課税仕入れの内容

④課税仕入れに係る支払対価の額

⑤書類の作成者の氏名又は名称

(3)税関長から交付を受ける輸出許可証等

①保税地域の所轄税関長

課税標準である金額、消費税額、地方消費税

③書類の交付を受けた者の氏名又は名称

 

 

7-1 仕入に係る消費税額の控除

【1】仕入に係る消費税額の控除

事業者*1(免税事業者を除く。)が国内において行う課税仕入れ(特定課税仕入れを除く。)若しくは特定課税仕入れ又は保税地域から引き取る課税貨物については、課税仕入れを行った日、特定課税仕入れを行った日、課税貨物を引取った日又は特例申告書と提出した日の属する課税期間の課税標準額に対する消費税額から、その課税期間中に国内において行った課税仕入れに係る消費税額、その課税期間中に国内において行った特定課税仕入れに係る消費税額及びその課税期間における保税地域からの引き取りに係る課税貨物につき課された又は課されるべき消費税額の合計額を控除する。

なお、課税仕入れに係る消費税額は、その課税仕入れに係る支払対価の額に6.3/108を城して算出した金額とし、特定課税仕入れに係る消費税額はその特定課税仕入れに係る支払対価の額に6.3/100を乗じて算出した金額とする。また、課税貨物は他の法律又は条約の規定により消費税が免除されるものを除く。

 

【2】個別対応方式又は一括比例配分方式

その課税期間の課税売上高が5億円を超える場合、又は課税売上割合が95%未満の場合の課税仕入れ等の税額の合計額は次のいづれかの方法により計算した金額とする。

(1)個別対応方式

①適用要件

その課税期間中に国内において行った課税仕入れ、特定課税仕入れ、又は保税地域からの引き取りに係る課税貨物につき、次の区分が明らかにされている事。

なお、次の区分が明らかにされている場合であっても一括比例配分方式を採用する事が出来る。

イ 課税資産の譲渡等にのみ要するもの

ロ その他の資産の譲渡等にのみ要するもの

ハ 共通して要するもの

②計算方法

次のイとロを合計する方法

イ 課税資産の譲渡等にのみ要する課税仕入れ等の税額の合計額

ロ 共通して要する課税仕入れ等の税額の合計額×課税売上割合

(2)一括比例配分方式

①計算方法

次の算式により計算した金額とする

課税仕入れ等の税額の合計額×課税売上割合

②一括比例配分方式の継続適用

一括比例配分方式により計算した課税期間の初日から2年を経過する日までの間に開始した各課税期間においてその方法を継続して適用した後の課税期間でなければ個別対応方式により計算する事は出来ない。

 

【3】課税売上割合に準ずる割合

個別対応方式において、課税売上割合に準ずる割合として次の要件を満たす時は、

 

 

*1:事業者には課税事業者と免税事業者がある

2-9 特定新規設立法人の納税義務の免除の特例

【1】特定新規設立法人

新規設立法人のうち、新設開始日において特定要件に該当し、かつ次に掲げる者の基準期間相当期間における課税売上高が5億円を超える者(新設法人及び社会福祉法人を除く。)をいう。

 

【2】内容

特定新規設立法人の基準期間がない事業年度に含まれる各課税期間中に国内において行った課税資産の譲渡等(特定資産の譲渡等を除く。)及び特定課税仕入れについては、納税義務は免除されない。

なお、課税事業者を選択している場合、特定期間における課税売上高による納税義務の免除の特例、合併、分割等があった場合の納税義務の免除の特例、新設法人が調整対象固定資産の課税仕入れ等を落とした場合の納税義務の免除の特例により課税事業者となる場合には、この規程は適用されない。

 

【3】調整対象固定資産の課税仕入れ等を行った場合

特定新規設立法人がその基準期間がない事業年度に含まれる各課税期間中に調整対象固定資産の課税仕入れ等を行った場合は新設法人が調整対象固定資産の課税仕入れ等を行った場合の規程を準用する。

2-8 新設法人の納税義務の免除の特例

 

【1】内容

その事業年度の基準期間のない法人(社会福祉法人の除く。)でその事業年度開始の日における資本金額又は出資金額が1千万円以上のもの(以下新設法人という。)の基準期間がない事業年度に含まれる各課税期間中に国内において行った課税資産の譲渡等(特定資産の譲渡等を除く。)及び特定課税仕入については、納税義務は免除されない。

なお、新設法人が課税事業者を選択している場合、特定期間における課税売上高による納税義務の免除の特例、又は合併、分割等があった場合の納税義務の免除の特例により課税事業者となる場合にはこの規程は適用されない。

 

【2】調整対象固定資産の課税仕入れ等を行った場合

新設法人が基準期間がない事業年度に含まれる各課税期間中に調整対象固定資産の課税仕入れ等を行った場合には、その課税仕入れ等の日の属する課税期間の初日から3年を経過する日の臆する課税期間までの各課税期間において国内において行った課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについては納税義務は免除されない。なお、新設法人が課税事業者を選択したいる場合、特定期間における課税売上高による納税義務の免除の特例、合併、分割等があった場合の納税義務の免除の特例、合併・分割等が合った場合の納税義務の免除の特例、又は新設法人の納税義務の免除の特例により課税事業者となる場合には、この規定は適用されない。