1-1 課税の対象
【1】国内取引
(1)課税の対象
国内において事業者が行った資産の譲渡等(特定資産の譲渡等を除く。)及び特定仕入れ(事業として他の者から受けた特定資産の譲渡等をいう。)には、消費税を課する。
(2)国内取引の判定
次の場所が国内にあるかどうかにより行う。
①資産の譲渡・貸付
譲渡・貸付けが行われる時においてその資産が所在していた場所。
なお、船舶、特許権などの譲渡・貸付けである場合には、一定の場所。
②役務の提供(③を除く)
役務の提供が行われた場所
なお、国際輸送、国際通信などの役務の提供である場合には、一定の場所。
③電気通信利用役務の提供
役務の提供を受ける者の住所等
ただし、その住所等がないときは国外で行われたものとする。
④特定仕入れ
特定仕入れを行った事業者が、その特定仕入れとして他の者から受けた役務の提供につき②又は③に定める場所。
ただし、次の場合には、この限りでない。
(イ)国外事業者が恒久的施設で行う特定仕入れ(他の者から受けた事業者向け電気通信利用役務の提供に限る。)のうち、国内において行う資産の譲渡等に要するものは、国外で行われたものとする。
(ロ)事業者(国外事業者を除く。)が、国外事務所等で行う特定仕入れのうち、国外において行う資産の譲渡等にのみ要するものは、国外で行われたものとする。
(3)みなし譲渡
①個人事業者が棚卸資産等の事業用資産を家事のために消費使用した場合には、事業として対価を得て行った資産の譲渡とみなす。
②法人が資産をその役員に贈与した場合には、事業として対価を得て行った資産の譲渡とみなす。
【2】輸入取引
(1)課税の対象
保税地域から引き取られる外国貨物には、消費税を課する。
(2)引取りとみなす場合
保税地域において外国貨物が消費使用された場合には、その消費使用した者がその時にその外国貨物を保税地域から引き取るものとみなす。ただし、課税貨物の原材料として消費使用された場合その他一定の場合には、この限りでない。
【3】用語の意義
(1)国内
消費税法の施行地をいう
(2)事業者
個人事業者(事業を行う個人)及び法人をいう。
(3)国外事業者
所得税法に規定する非居住者である個人事業者及び法人税に規定する外国法人をいう。
(4)資産の譲渡等
事業として対価を得て行われる資産の譲渡・貸付け及び役務の提供(代物弁済による資産の譲渡その他対価を得て行う資産の譲渡・貸付け及び役務の提供に類する行為を含む)をいう。
(5)特定資産の譲渡等
事業者向け電気通信利用役務の提供及び特定役務の提供をいう。
(6)電気通信利用役務の提供
資産の譲渡等のうち、電気通信回線を介して行われる著作物の提供その他電気通信回線を介して行われる役務の提供(通信設備を用いて他人の通信を媒介する役務の提供を除く。)で、この資産の譲渡等の結果の通知その他の他の資産の譲渡等に付随して行われる役務の提供を除く。
(7)事業者向け電気通信利用役務の提供
国外事業者が行う電気通信利用役務の提供のうち、その性質又は取引条件等から役務の提供を受ける者が通常事業者に限られるものをいう。
(8)特定役務の提供
資産の譲渡等のうち、国外事業者が行う演劇その他の役務の提供その他一定の役務の提供(電気通信利用役務の提供を除く。)をいう。
(9)外国貨物
輸出の許可を受けた貨物及び外国から本邦に到着した貨物で輸入が許可される前のものをいう。
(10)課税貨物
保税地域から引き取られる外国貨物のうち、非課税とされるもの以外のものをいう。
【4】資産の譲渡等の範囲
(1)資産の譲渡等に類する行為
①代物弁済による資産の譲渡
②負担付き贈与による資産の譲渡
③金銭以外の資産の出資
④特定受益証券発行信託、法人課税信託の委託者が金銭以外の資産を信託した場合のその資産の移転など
⑤貸付金その他の金銭債権の譲受その他の承継(包括承継を除く。)
⑥日本放送協会が受信料を徴収して行う放映
(2)収用による保証金の取得
土地収用法などの規定に基づいて所有権などを収用され、その権利取得者からその権利の消滅に係る補償金の取得した場合には、対価を得て資産の譲渡を行ったものとする。
(3)事業付随行為
資産の譲渡等には、その性質上事業に付随して対価を得て行われる資産の譲渡・貸付け及び役務の提供を含むものとする。
【5】特定役務の提供の範囲
演劇などの俳優、音楽家その他の芸能人、又は職業運動家の役務の提供を主たる内容の事業として行う役務の提供のうち、国外事業者が他の事業者に対して行う役務の提供とする。
なお、不特定多数の者に対して行うものを除く。