2-6 分割等があった場合の納税義務の免除の特例

【1】新設分割子法人の納税義務の免除の判定

(1)分割事業年度

分割等があった場合において、次の要件を満たすときは、その新設分割子法人のその分割等があった日から、その事業年度終了の日までの間に国内において行った課税資産の譲渡等(特定資産の譲渡等の除く。)及び特定課税仕入れについては、納税義務は免除されない。

基準期間に対応する期間における新設分割親法人の課税売上高(注)>1千万円

(注)新設分割親法人が2以上ある場合はいずれかの課税売上高

(2)分割事業年度の翌事業年度

その事業年度開始の日の1年前の日の前日から、その事業年度開始の日の前日までの間に分割等があった場合において、次の要件を満たす時は、その新設分割子法人のその事業年度中に国内において行った課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについては、納税義務は免除されない。

基準期間に対応する期間における新設分割親法人の課税売上高(注)>1千万円

(注)新設分割親法人が2以上ある場合にはいずれかの課税売上高

(3)分割事業年度の翌事業年度以後

その事業年度開始の日の一年前の日の前々日以前に分割等があった場合において、次の王権を満たすときは、その事業年度中に国内において行った課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについては納税義務は免除されない。なお、新設分割親法人が2以上ある場合にはこの規程は適用されない。

①新設分割子法人が基準期間の末日において特定要件に該当している事。

②新設分割子法人の基準期間における課税売上高≦1千万円

③新設分割子法人の基準期間における課税売上高+基準期間に対応する期間における新設分割親法人の課税売上高>1千万円

 

【2】新設分割親法人の納税義務の判定

(1)分割事業年度の翌々事業年度以後

その事業年度開始の日の一年前の日の前々日以前に分割等があった場合において、次の要件を満たすときは、その新設分割親法人のその事業年度中に国内において行った課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについては納税義務は免除されない。

なお、新設分割親法人が2以上ある場合には、この規程は適用されない。

①新設分割子法人が基準期間の末日において特定要件に該当していること。

②新設分割親法人の基準期間における課税売上高≦1千万円

③新設分割親法人の基準期間における課税売上高+基準期間に対応する期間における新設分割子法人の課税売上高>1千万円

 

【3】用語の意義

(1)分割等

①新設分割

②事後設立で一定の要件を満たすもの

③現物出資で一定の要件を満たすもの

(2)特定要件

新設分割子法人の発行済み株式又は出資の50%超を新設分割親法人及び新設分割親法人と特殊な関係にある者が有する場合、その他一定の場合をいう。

2-5 合併があった場合の納税義務の免除の特例

【1】吸収合併があった場合

(1)合併事業年度

吸収合併があった場合において次の要件を満たすときは、その合併法人のその合併が合った日からその事業年度終了の日までの間に国内において行った課税資産の譲渡等(特定資産の譲渡等を除く。)及び特定課税仕入れについては、納税義務は免除されない。

①合併法人の基準期間における課税売上高≦1千万円

②基準期間に対応する期間における被合併法人の課税売上高>1千万円

(注)被合併法人が2以上あるときは、いずれかの被合併法人の課税売上高

(2)合併事業年度の翌事業年度以後

その事業年度の基準期間の初日の翌日から、その事業年度開始の日の前日までの間に合併があった場合において、次の要件を満たすときは、その合併法人のその事業年度中に国内において行った課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについては、消費税を免除されない。

①合併法人の基準期間における課税売上高≦1千万円

②合併法人の基準期間における課税売上高+被合併法人の基準期間に対応する期間における課税売上高>1千万円

(注)被合併法人が2以上ある場合には各被合併法人の課税売上高の合計額

 

【2】新設合併があった場合

(1)設立事業年度

新設合併があった場合において次の要件を満たすときは、その合併法人の設立事業年度中に国内において行った課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについては、消費税は免除されない。

基準期間に対応する期間におけるいずれかの被合併法人の課税売上高>1千万円

(2)設立事業年度の翌事業年度以後

その事業年度の開始の日の2年前の日からその事業年度開始の日の前日までの間に新設合併が合った場合において次の要件を満たすときは、その合併法人のその事業年度中に国内において行った課税資産の譲渡等(特定資産の譲渡等を除く。)及び特定課税仕入れについては、納税義務は免除されない

①合併法人の基準期間における課税売上高≦1千万円

②合併法人の基準期間における課税売上高(注)+基準期間に対応する期間における被合併法人の課税売上高>1千万円

(注)年換換算しない額

 

【3】適用除外

 合併法人が課税事業者を選択している場合、特定期間における課税売上高による納税義務の免除の特例により課税事業者となる場合には、これらの規程はてきようされない。

 

【4】用語の意義

(1)合併法人

合併により被合併法人の事業を承継した法人及び

合併により設立された法人をいう。

(2)被合併法人

合併により消滅した法人をいう。

 

2-4 相続があった場合の納税義務の免除の特例

【1】相続年

その年において相続があった場合において、次の要件を満たすときは、その事業を承継した相続人のその年1月1日から12月31日までの間に国内において行った課税資産の譲渡等(特定資産の譲渡等を除く)及び特定課税仕入れについては、納税義務は免除されない・

(1)相続人の基準期間における課税売上高≦1千万円

(2)被相続人の基準期間における課税売上高>1千万円

 

【2】相続年の翌年以降

その年の前年又は前々年において、次の要件を満たすときは、その事業を承継した相続人のその年中に国内において行った課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについては、消費税は免除されない。

(1)相続人の基準期間における課税売上高≦1千万円

(2)相続人の基準期間における課税売上高+被相続人の基準期間における課税売上高>1千万円

 

【3】適用除外

相続人が課税事業者を選択している場合、特定期間における課税売上高による納税義務の免除の特例により課税事業者となる場合にはこれらの規程は適用されない。

 

【4】2以上の相続人が事業を承継した場合

2以上の増属任が費増属任の事業を事業場ごとにそれぞれ承継した場合における被相続人の基準期間における課税売上高は、その相続人が承継した事業場にかかる部分の金額とする。

2-3 特定期間における課税売上高による納税義務の免除の特例

【1】内容

個人事業者のその年又は法人のその事業年度において、次の要件を満たすときは、個人事業者のその年中又は法人のその事業年度中に国内において行った課税資産の譲渡等(特定資産の譲渡等を除く。)及び特定課税仕入れについては、消費税は免除されない。

(1)基準期間における課税売上高≦1千万円

(2)特定期間における課税売上高>1千万円

 

【2】特定期間における課税売上高

(1)特定期間

①個人事業者

その年の前年1月1日から6月30日までの期間

②その事業年度の前事業年度がある法人

その事業年の前事業年度開始の日以後6月の期間。

ただし、前事業年度が短期事業年度である場合その他一定の場合を除く。

③その事業年度の前事業年度が短期事業年度である法人

その事業年度の前々事業年度開始の日以後6月の期間。

なお、前々事業年度が6月以下である場合にはその前々事業年度開始の日から終了の日までの期間を6月の期間とする。

また、前々事業年度が基準期間に含まれるものその他一定のものを除く。

(2)短期事業年度

7月以下の事業年度その他一定の事業年度をいう。

(3)特定期間における課税売上高

その特定期間中に国内において行った課税資産の譲渡等の税抜対価の額の合計額から、その特定期間中の売上に係る税抜対価の返還等の金額の合計額を控除した残額をいう。

なお、【1】を適用する場合には特定期間中に支払った所得税法に規定する支払調書に記載すべき給与等の金額を、特定期間における課税売上高とすることが出来る。

2-2 課税事業者の選択

【1】選択の届出及び効力

小規模事業者に係る納税義務の免除が適用される事業者が、その納税地の所轄税務署長に課税事業者選択届出書を提出した場合には、その提出した日の属する課税期間の翌課税期間以後の課税期間中に国内において行った課税資産の譲渡等(特定資産の譲渡等を除く。)及び特定課税仕入れについては、納税義務は免除されない。

なお、提出した日の属する課税期間が事業を開始した日の属する課税期間その他一定の課税期間である場合には、その提出した日の属する課税期間以後の課税期間については、納税義務は免除されない。

また、基準期間における課税売上高が1千万円を超える課税期間については、この規程は適用されない。

 

【2】選択不適用の届出及び効力

(1)届出書の提出

課税事業者選択届出書を提出した事業者が課税事業者の選択をやめようとするとき、又は事業を廃止したときは、その納税地の所轄税務署長に課税事業者選択不適用届出書を提出しなければならない。

(2)届出の効力

課税事業者選択不適用届出書を提出した場合には、その提出した日の属する課税期間の翌課税期間より、課税事業者選択届出書はその効力を失う。

(3)届出の制限

課税事業者選択届出書を提出した事業者は、課税事業者の選択の適用を受けた課税期間の初日から2年を経過した日の属する課税期間の初日以降でなければ、課税事業者選択不適用届出書を提出する事は出来ない。

 

【3】調整対象固定資産の課税仕入れ等を行った場合

(1)内容

課税事業者選択届出書を提出した事業者が、課税事業者選択の適用を受けた課税期間の初日から2年を経過する日までの間に開始した各課税期間(簡易課税制度の適用を受ける課税期間を除く)中に調整対象固定資産の課税仕入れ等を行った場合には、【2】(3)にかかわらず、事業を廃止した場合を除き、その課税仕入れ等の日の属する課税期間の初日から3年を経過した日の属する課税期間の初日以降でなければ、課税事業者選択不適用届出書を提出することが出来ない。

なお、事業を開始した日の属する課税期間その他一定の課税期間において、課税事業者選択届出書の提出前に調整対象固定資産の課税仕入れ等を行った場合においても同様に取り扱う。

(2)提出がなかったものとみなす場合

(1)の場合において、課税仕入れ等の日の属する課税期間の初日から、調整対象固定資産の課税仕入れ等の日までの間に、課税事業者選択不適用届出書を提出しているときは、その届出書の提出はなかったものとみなす。

 

【4】届出に関する特例

(1)内容

課税事業者の選択の適用を受けようとする事業者が、災害その他やむを得ない事情によりその適用を受けようとする課税期間の初日の前日までに課税事業者選択届出書を提出出来なかった場合において、その納税地の所轄税務署長の承認を得たときは、その税務署長に、その課税期間の初日の前日に課税事業者選択届出書を提出したものとみなす。また、課税事業者選択不適用届出書についても同様に取り扱う。

(2)申請書の提出

この承認を受けようとする事業者は、その事情がやんだ日から相当の期間内に課税事業者選択(不適用)に係る特例承認申請書をその納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。

 

【5】一定の課税期間

課税事業者選択届出書を提出した課税期間よりその効力が発生する課税期間は次のとおりである。

(1)国内において課税資産の譲渡等に係る事業を開始した日の属する課税期間。

(2)相続により課税事業者の選択の適用を受けていた被相続人の事業を承継した日の属する課税期間。

(3)吸収合併により課税事業者の選択を受けていた被合併法人の事業を承継した日の属する課税期間。

(4)吸収分割により課税事業者の選択の適用を受けていた分割法人の事業を承継した日の属する課税期間。

 

 

2-1 納税義務者及び小規模事業者に係る納税義務の免除

【1】納税義務者

(1)国内取引

事業者は、国内において行った課税資産の譲渡等(特定資産の譲渡等を除く。)及び特定課税仕入れにつき消費税の納税義務がある。

(2)輸入取引

保税地域から外国貨物を引取る者は、課税貨物につき、消費税の納税義務がある。

 

【2】小規模事業者に係る納税義務の免除

事業者のうち、その課税期間の基準期間における課税売上高が1千万以下の事業者については、原則にかかわらず、その課税期間中に国内において行った課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについては、納税義務は免除する。なお、別段の定めがある場合にはこの限りではない。

 

【3】用語の意義

(1)特定課税仕入れ

課税仕入れのうち、特定仕入れに該当するものをいう。

(2)基準期間

①個人事業者

この年の前々年をいう。

②法人

その事業年度の前々事業年度をいう。

なお、前々事業年度が一年未満である法人については、その事業年度開始の日の2年前の日の前日から1年を経過する日までの間に開始した各事業年度を合わせた期間とする。

(3)基準期間における課税売上高

その基準期間中に国内において行った課税資産の譲渡等の税抜対価の額の合計額から、その基準期間中の売上に係る税抜対価の返還等の金額の合計額を控除した残額をいう。

なお、基準期間が1年でない場合には、それを年換算した金額とする。

1-5 輸出物品販売場における免税

【1】内容

輸出物品販売場を経営する課税事業者が、非居住者に対し免税対象物品で輸出するために一定の方法により購入されるものの譲渡(非課税とされるものを除く。)を行った場合には、購入下限額以上の物品の譲渡については、消費税を免除する。

 

【2】輸出物品販売場の意義

次に掲げる要件の全てを満たす課税事業者の経営する販売場で、非居住者に対し、物品を免税で譲渡することができるものとして、その納税地の所轄税務署長の許可を受けたものをいう。

(1)現に国税の滞納がないこと

(2)輸出物品販売場の許可を取り消され、その取り消しの日から3年を経過しない者でないことその他輸出物品販売場を経営する事業者として不適当と認められる事情がないこと。

 

【3】輸出物品販売場とみなす場合

事前承認港湾施設内に臨時販売場を設置しようとする輸出物品販売場を経営する事業者が、設置する日の前日までに、設置する期間その他一定の事項を記載した届出書をその納税地の所轄税務署長に提出したときは、その期間に限り、その臨時販売場を輸出物品販売場とみなして、輸出物品販売場における免税を適用する。

 

【4】免税対象物品

次に掲げる物品以外の物品が対象となる。

(1)金又は白金の地金その他通常生活の用に供しないもの

(2)通常生活の用に供する物品のうち消耗品(食品類、化粧品類など)に該当するもので、その譲渡に係る税抜対価の額の合計額が50万円超のもの

 

【5】購入下限額

一般物品(消耗品以外のもの)及び消耗品の税抜対価の額の合計額5千円とする。

 

【6】書類の保存

(1)内容

輸出物品販売場における免税は、輸出物品販売場を経営する事業者が購入者誓約書、旅券等の写し(電磁的記録を含む。)を保存することを要件とする。

ただし、災害その他やむを得ない事情により保存することが出来なかったことを証明した場合その他一定の場合にはこの限りではない。

(2)保存期間

購入者誓約書などを、譲渡を行った日の属する課税期間の末日の翌日から2月を経過した日から7年間、納税地又は輸出物品販売場の所在地に保存しなければならない。

 

【5】購入方法

非居住者が、購入の際、次に掲げる要件の全てを満たして引き渡しを受ける方法とする。

(1)一般物品

①旅券等を提示し購入記録票の貼り付けを受け、旅券等と購入記録票の間に割印を受けること。

②購入後に輸出する旨の購入者誓約書を輸出物品販売場を経営する事業者に提出すること。

③一般物品の税抜対価の額の合計額が100万円を超える場合は、旅券等の写しを輸出物品販売場を経営する事業者に提出すること。

(2)消耗品

①旅券等を提示し購入記録票の貼付を受け、旅券等と購入記録票の間に割印を受けること。

②購入後30日以内に輸出する旨の購入者誓約書を輸出物品販売場を経営する事業者に提出すること。

③指定された方法で包装されること。